かがみの孤城 感想
どの子供も「いるいる!」ってなるキャラ造形。学生の時に出会えてたらえぐいくらい自己投影していただろうなぁ。というのも、学校という閉鎖空間の人間関係に馴染めなかった子供達が主役。本来の学校にいるはずの時間だけ行ける鏡の向こうの世界が舞台。違いに打ち解けあって精神的な支えになって少しずつ進んでいくようなお話。
暖かいお布団に包んで寝かせたい、と言うオタクの表現があるけど、それを未来にむけて力を蓄えさせるためにやっている印象を受けた。あなたは頑張ってるよ、おやすみしてまた明日がんばろうね。そんな感じ。(なんだかこう書くと皮肉に取られそうだけど、別に皮肉りたいわけではないです。)ひどい現実と優しい世界と両方が描かれていて、それでも話の流れ自体は暖かくて、心地よい世界です。
子供の頃は学校と家庭が世界の全てで、そこで迫害を受けると全てがダメになる気がしていたました。恋愛や女子のクラスカースト関係、空気を読むのが苦手、勉強についていけない、何故か馴染めない…集団から弾かれるのっていろんな要因があって、本人だけではどうしようもできないことが多くて…。本人の内面の問題だったり、単に相性が悪いだけだったり、タイミングが悪かっただけだったり。こういうのってどうしたらいいんだろう。
本書では家族が肯定してくれたり、それこそ集まった子供達が打ち解けあったりしてなんとか息をして、一歩踏み出そうとする。傷を癒してまた立ち上がるためには1年という期限はちょうどいいものだなと感じます。私は漫画の方を読んでいるのですが、最後まで追えたらいいなと思っています。
現実には城なんてなくて、最初受け入れようとしてくれた人たちだって離れてしまったりして、辛いばかりの現実ですけど。自分を肯定してくれる人がいる限り、私も頑張って歩いて行こうと思います。なんて、こう思えようになったのは某アプリがきっかけなのですが、本書が誰かにとってそう思えるきっかけになりますように。