推し、燃ゆ 感想
以下、ネタバレが多少含まれます。
作中で名前をはっきりと出されたわけでもないけどおそらく発達障害の診断が降りた少女が生きる話。
作中に出てくるSNSや若者言葉は嫌になるくらい現実味があるし、バイトや生活が上手くいかないのも目を塞ぎたくなるくらいリアルな描写。発達障害への理解がない家庭の空気感も生々しすぎて見ていて辛かった。彼女は私たちが生きているこの現実に居るんだなと思った。
推しが炎上して、アイドルからただの人になる。身内が死んで灰になる。母は祖母に恨み辛みを吐いて同じように主人公にあたる。姉はそんな母を伺って生活している。一見エリートのような父だって芸能人にリプライを送るおじさんだ。すべてが主人公である彼女に繋がっていて、そして脊髄だった推しがいなくなっても彼女は生きていかなきゃいけない。最後は散らばった骨を四つん這いで拾って、生き続けることを選択する。
短いけど主人公であるあかりの人生の一瞬が詰まった一冊だなと感じた。
なんとなくだけど、これは紙の本で持っていたい。