感想置き場

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放サモ 11章 感想

11章読了。文章が骨身に染みる。

構成など

太陽と月と輪廻と二面性を中心にした章でした。

相変わらず構成がうまくて読んでいて楽しくて仕方がありませんでした。デヴァーローカと東京を重ねて、カーマと物部先生を、物部先生とシヴァを重ね、主人公とマルドゥックを重ねてと色んなものがどんどん重なって語られていくのがたまらない。ちゃんと全部把握できてるかも怪しいほど1つの描写で複数の対象のことを語っていそう。
(シヴァと老オピオーンもおそらく重なっている?繰り返しの中ですり切れて初めの気持ちを忘れてしまったもの同士。オピオーンは牙が柱だったはずで、11章後半の卵の描写も意図的かと)
 
キャラについて
「あれは太陽の反射?……知らない、嘘だよ、そんなもの。」
対比の描写も最高でした。軍勢でしか闇の中を歩けないダイコクと一人で夜を歩けるエリイの所は興奮しました。エリイがカッコ良すぎた。吸血鬼になってかわいそうと言う人や治る方法があるんですよと吹き込んでくる人、そんな他者を跳ね除け私は自分の意思でこの道を歩いているんだって胸を張って夜の歌舞伎町を歩く女。惚れないわけがない。月が太陽に照らされて輝いているなんて、嘘。なんて世界のルールも否定してしまう姿は放サモの伝えたいであろう姿勢を体現していて最高でした。
タネトモは彼女の語りや立ち絵から怖くて仕方がなかったんですが、見下していた愚直な行動をするヤスヨリに惚れてしまった姿は可愛かった。こいついつも恋する誰かに惚れてるな。エリイとの通話で一気に身近な存在に感じられて良かったです。
 
テーマ
放サモは主張が一貫していますね。どこかで書きましたが「あなたはあなた」という姿勢を崩さない事を改めて感じさせてくれた章でした。スノウさんのお説教やエリイの姿勢はいつか物部先生が教えてくれた「敵は自分で決めることができる」という話と同じ。そしてこの章では正解をぐるぐると探す描写がいくつもあって、それに対する回答も「自分の中にしか答えはない」でした。これも自分という世界を定義するのは自分で、世界の外を定義するのも自分でっていう話になるなと。とにかく「あなたはあなた」を貫く姿勢が素晴らしい。
また誰かとの繋がりについても幾度か語られていたと思います。今回の世界に他者がいる東京で自分の孤独を知ったクトゥグアと孤高の存在になりたいシヴァ/誰とも縁を繋いできた主人公と正反対のキリト。今回のシヴァといい、今までの積み上げでこの展開になった主人公といい繋がりの大切さが語られてきたわけですが、そうするとキリトはどうなるんだろう。フルフミ先輩も他者との繋がりは少なめなのでこの二人をどう扱うのか注目しています。そして少し気になったのがデュオの兄が自分を天才だと言ってくれるならそう振る舞わなくてはいけない、というような表現。他者が自分を肯定してくれるなら立てる、というのは1年目バレンタイン イベントやキョンシーナイトで言っていたんですが、今回は「振る舞わなくてはいけない」という強制されたような表現だったので少し心配になりました。
 
今後について
イベント時空の説明や、少し設定から浮いているように見えたシャドウの説明がついてスッキリしました。バレフェスが一番わかりやすい一つのループの終わりのあたりだと思うんですが、あのイベントでキリトが犠牲になったような描写があったことを思い出しました。キリトがこの11章で、あのタイミングで出てきたというのは、そういうことであってるんでしょうか。
長期の目的が提示されたのでこれからの章が少し読みやすくなりそうでした。2/3がリョウタと青山で、3/3がトウジと六本木のターンになるんでしょうか。あと1,2年はかかりそう。八犬士やよく理解できなかったシノについても触れてくれそうで今後が楽しみです。