感想置き場

外出中

放サモ ネタバレあり1部/2部(9章10章)感想

 1部2部と一部イベントのネタバレあります

 

1部
主人公について
主人公:追放者の概念の塊。すべてとつながるように作られているが、すべてを切断するという矛盾する性質を持つ。
 
いろんな人に面影を重ねられるのも、記憶喪失なのにも理由があるという主人公として素晴らしい作りだと思います。いろんな人に面影を重ねられるけど「自分は自分だ」という自分を肯定するテーマに沿う作りになっている。読んでいてストレスがない設定で好きです。
 
全体のテーマ
あと全体の大切なテーマとして役割からの離脱というものがあると思います。敗北者として定められている、そんな定めからの、停滞からの離脱。これも雑に語ると「貴方は貴方」という話になるんですよね。定められた役割なんて知らない、私は私だという。押し付けるなよという。
 
追記 ループとイベントについて
2年目のイベントまで読んでやっと気づいたんですが、イベストは本編の時間軸ではないんですね。オニワカなどの絆だけ結んで消えていったキャラも普通に存在しているのはただのミスかと思ってました。別のループ軸の主人公だと思うとなんだか悲しい。でもベンテンが言うように、楽しかったんだから無意味なんかじゃないんです。
(※ここまで2部未読の状態で書いています。以下2部読了時の感想。)
 
2部
総括
本格的にFateでみた要素が見られるようになりました。(あっ!これFateでやったところだ!)繰り返すことで全ての可能性を潰し、最後はその先へ。定められた役割を脱ぎ捨ててその先へ。物部先生が言ったように学校のような囲まれて守られている安定した世界から、不安定な自由な世界へ一人で飛び立つ準備をしている状態なんでしょうか。
 
構成と文章
9、10章の全体の感想なんですが、読みにくい!1部と2部の間に何かあったのかと疑うほど読みにくかったです。目が滑る。狭いテキストボックス内の短い文章の連なりでも読みやすいのが放サモの特徴だと思ったんですが。この状態が続くならこの先読み続けるのは考えたくなります。(イベントは変わらず読みやすかったので大して心配はしてませんが。)あとは、登場人物が非常に多くなって1章だけじゃ全員描写しきれなくなってきている印象を受けました。風呂敷はたたみ切ってくれそうなんですが推しているキャラクターがいる人にとってはもどかしそう。何章か読まずに置いといて一気読みするのがいいかもしれません。ただの学生なのに思いっきり巻き込まれてしまったタウラスマスクがだいぶ心配です。
 
 ただ構成や熱量は変わらず好きでした。特に、漫画で言う視線誘導の様に言葉をつなげていく物語の構成が凄く好きでした。
 
主人公からサロモンくんへの一方的な「信じる」→へパイストスから主人公への一方的な「信じて」→へパイストスの諦め→クロードからシュウイチへの「諦めたのか」
 
ここが狂おしいほど好きです。後は鏡の様に相手に自分を投影して初めて自分のことを理解するというのがテスカトリポカの性質や能力と相まってよかった。主人公とへパイストス、主人公とシンノウ、主人公とテスカトリポカ、主人公とR-19…何組も同じことをやる事で印象付ける。好きです。
 
 テスカトリポカとケツァルコアトルの関係性も良かった。やられたらやり返す鏡の様な性質のテスカトリポカがしっかり最後負け逃げ、勝ち逃げしていったのが最高でした。ケツァルコアトルが自身が存在した証拠を全て消していったように、テスカトリポカも全てぐちゃぐちゃにして消えていった。(またそして物部先生も自身が存在した痕跡を全て消して去るという構成が好き)
 
テスカトリポカ

 「世界で一番自由で、楽しく!」

現在やってる祭りイベントを2部と同時進行していたので情緒もぐちゃぐちゃにされました。あの最期から一転して明るいお祭りで…。しかもテスカトリポカなんて、テスにゃん、ぬいぐるみなんて可愛らしい姿ではしゃいじゃって。10章終わった後の仄暗い気持ちをどこにやればいいんだ、と混乱しながら読んでました。あいつ朝一緒に散歩したり祭りで楽しい思い出作っておきながら、本編で最悪な戦争を起こして、やりたい事やり切って消えていったんですよ。なんにせよ彼が本当に信念に沿って楽しく生きてるのがわかるイベントでした。