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トガビトノセンリツ 感想

 

ADV トガビトノセンリツ

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apps.apple.com

 デスゲームもののノベルゲーム。レイジングループ、D.M.L.C.繋がりでプレイしました。以下、ネタバレありの感想なので気をつけてください。

  app storeの上の方に出てくるレビューが言いたいことすべて言ってくれてるので私からは何をどう言ったものか。とりあえず思春期の人間にはとても刺さると思うので是非。私ももっと早く出会いたかったです。

 

 

ただ今読んだからこそ、キャラクターの刺激的な面が受け入れられた節もあるかもしれないとも思いました。自分が今より若くて潔癖な時にキャラの刺激的な裏面、ミコトちゃんの愛憎混じった感情などを受け入れられるか?と言われると難しいかもしれません。今では人間らしくて最高という気分なんですが。コップから水が溢れそうな雰囲気が味わい深かったです。

 

[ストーリー]

 ストーリー展開に関しては、主人公がある意味「逃げ」の選択肢を希望して、その結果が見れたのは凄い良かったです。みんなが死を受けいれて全滅する勝ち方をしたいと主張する主人公に出会えると思いませんでした。多分この話が刺さる人間はそういう選択肢を希望すると思うので、見たいものが見れた気持ちです。もっと言うならボリュームがもう少し欲しかったかもしれません。ただ元々携帯ゲームだったようなので、それを考えると結構長い方なのかもしれません。

 

 [総括]

 ゲーム中で政治力の話を感じたり、親と子の関係性の話をしていたり同じ筆者が書いているのだなと実感できて面白かったです。当たり前だけど作品ごとで主人公の性格がガラリと変わるので、その点も面白かった。作品を作者で選んで読む場合こういった楽しみがあるので良いなと思いました。改めてこの方の書く話が好きだな、と思える良い作品でした。以下、キャラクターに関して少しずつ感想を書いておきます。

  

[キャラクター]

主人公

 ゲームを進めたくない主人公に対して、征史郎が代わりにゲームを進めようとしてくれるのでバランスが取れていて良かったです。部活のメンバーは「死を無駄にしたくない」という思いがあるのですが、主人公も同じで、先生に負けないために自ら勝負を挑んでいくという根性があるキャラクターでした。4年も先生に飽きられてなかったことから諦めずにくらいついていたんだろうな。

 

征史郎

 夜の下りがだいぶ好きでした。刺す場所助言して4箇所刺されてしまうのは愛。そこでエレナちゃんが失ってしまったものの大切さに気づくのも最高でした。征史郎はしれっと感が強くて、それが征史郎らしさがあっていいのですが、もう少しエレナちゃんへの言及が欲しかった。くるみちゃんが「行動で示して」って言ってたのもあって強引に納得はしているのですが、主人公への言及はいっぱいあった一方で、エレナちゃんへの感情表現が行動がほとんどなんですよね。

 

エレナ

 スペシャルコンテンツも読みました。今でも見れるようにしてくれているのに感謝。本編中で「命に関する選択は他者を信頼しない」という信念を持っていることに納得できるキャラでした。スペシャルコンテンツで言及されていましたが、このゲームは家庭環境がリアル志向で、それが当然だというスタンスで作られています。だからこそ救われる読者もいると思いました。

 

亮也

 自分の心は動かない、と何度も言っている姿が自分に言い聞かせているようにも見えました。基本的にはシステム組んでそこにデータ入力して出力する方向なのかもしれませんが、少なくとも部活メンバーの死に関しては心動いてるんじゃないかなと思いました。動きとしては冷静に自分の勝利条件に向かって行動していて、模範囚もやり遂げて人に譲渡できたので天晴れ。

 

 話を通してしっかり成長して良かったです。その点や、作中で受けた仕打ちが主人公と似ている、性質が主人公と似ている点を考えると彼女も主人公だったように思います。和馬に抱きついたりヒロインとしても良い場面が多かったです。

 

千鶴先生

 最初から最後まで狂っていて最悪な方に一本筋通っていて良かったです。最後、主人公と夫婦として見つかるとか、10回記念で指輪送るとか、ジャンケンで首あげてしまうとか、ここまで狂われていると感嘆してしまいました。作者さんは狂っている人間を書く技術凄いし、その狂いに関して期待するものを期待以上の水準でお出ししてくるので凄いなと思います。最初の犠牲者を惜しませるほど愛着を抱かせるのはなかなか難しいことだとは思いますが、欲を言うならもっとプレイヤーも先生の喪失を惜しみたかったです。

 

悠くん

 二面性の話なのか、過去のトラウマ起因するものなのか、本編中だけでは理解できなく言及し難いなという感じでした。もう一周したり、エクストラ読んだら言及できるようになるかもしれません。同じ言及し難い枠の中に七緒みことちゃんがいます。ただ、こちらは本編中でいっぱい味わえたのでわざわざ私が言語化する必要もないな、という気分にもなりました。一言言うなら、幼い頃に生死やその後の生き方に関わるイベントに関与している概念が好きでした。